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東京地方裁判所 昭和46年(ワ)10863号 判決

原告 東京小型自動車部品株式会社

右代表者代表取締役 前川恒吉

右訴訟代理人弁護士 的場武治

同 竹田章治

同 田中純忠

被告 斉藤正

被告 斉藤直

右両名訴訟代理人弁護士 益本安造

同 小林元

同 鳥本昇

主文

1  被告らは各自原告に対し、金六二七万円及びこれに対する昭和四七年二月八日から右支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

2  原告のその余の請求を棄却する。

3  訴訟費用はこれを五分し、その二を原告の、その余を被告らの負担とする。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  原告

1  被告らは各自原告に対し、一〇五〇万円及びこれに対する昭和四七年二月八日から右支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

2  訴訟費用は被告らの負担とする。

3  仮執行の宣言。

二  被告ら

1  原告の請求を棄却する。

2  訴訟費用は原告の負担とする。

第二原告の請求原因

一  原告は、昭和三四年一月一日、被告らから別紙物件目録記載(一)の土地(以下、本件土地という)を、普通建物所有の目的で、賃料月額八八一四円、期間三〇年として賃借し(以下、本件賃貸借契約ないし本件賃貸借という)、同地上に同目録記載(二)の建物(以下、本件建物という)を所有した。

二  被告らは、昭和四四年三月四日、原告を債務者とし、原告の賃料不払いを理由とする本件賃貸借契約解除に基づく本件建物収去・本件土地明渡請求権を保全するためと主張して、本件建物につきいわゆる執行官保管・債務者使用許可の占有移転禁止仮処分及び処分禁止仮処分を申請し(東京地方裁判所昭和四四年(ヨ)第一四九三号事件)、同月六日、その旨の仮処分決定を得て直ちに右処分禁止仮処分決定の執行を了したが、右占有移転禁止仮処分決定は、債務者不在等の事由により執行期間を徒過したため失効した。そこで被告らは、同年五月二日、原告を債務者とし、前同様の被保全権利を前提に右仮処分決定の失効を理由として、本件建物につき前記占有移転禁止仮処分を申請し(東京地方裁判所昭和四四年(ヨ)第三八四五号事件)、同月七日その旨の仮処分決定を得て、同月九日執行した(以下、右各仮処分を単に「本件仮処分」という)。

三  そこで原告は、東京地方裁判所昭和四四年(ヨ)第一四九三号事件につき、昭和四六年六月二日、処分禁止仮処分異議を申し立てたところ(同庁昭和四六年(モ)第一七八八号事件)、同四七年一月一七日、右仮処分決定を取消し、被告の右仮処分申請を却下する旨の判決がなされ、右判決は同年二月一五日確定し、さらに、同裁判所昭和四四年(ヨ)第三八四五号事件につき、昭和四七年三月四日、事情変更による占有移転禁止仮処分取消を申し立てたところ(同庁昭和四七年(モ)第三一一七号事件)、同年七月一二日、右仮処分決定を取消す旨の判決がなされ、その後右判決は確定した。

よって、本件仮処分は被保全権利がないのに執行された違法なものである。

四1  被告らは、右の違法な本件仮処分執行について、民訴法第一九八条二項の類推適用により無過失責任を免れないから、後記五の損害を賠償すべき義務がある。

2  仮に右責任が認められないとしても、被告らは、本件仮処分申請当時被保全権利の存しないことを容易に知りうる状態にあったにも拘らず、不注意でこれを知らなかった過失がある。

五  原告は被告らのなした本件仮処分の執行によりつぎの損害を蒙った。

1(一)  原告は、昭和四三年二月不渡手形を出したこともあって、本来の営業目的である小型自動車部分の卸販売業務を停止し、本件建物を第三者に賃貸して収益をあげるため、訴外和光産業株式会社(以下、訴外会社という)との間に、昭和四四年二月二八日、本件建物を賃料月額三〇万円、期間は昭和四七年二月末日まで三年間とする旨の賃貸借契約を締結した。

(二) しかるに原告は、被告らの違法な仮処分執行により、本件建物を訴外会社に賃貸しすることができなくなり、その結果、右仮処分が執行された日の翌日である昭和四四年三月七日から、原告が本件建物の所有権を任意競売手続により失った昭和四七年二月七日までの間、右(一)記載の賃料相当額の一か月三〇万円の割合による損害金合計一〇五〇万円の損害を蒙った。

(三) 被告らは、前記(一)記載の原告の経営状況を知り、かつ、原告が不動産業者を通じて本件建物の買主あるいは借主を物色していることを知るに及んで本件仮処分申請をしたものであって、原告が本件建物につき右(二)記載の賃料相当額の損害を受けることを予見していた。

六  よって原告は被告らに対し、右損害金一〇五〇万円及びこれに対する不法行為後の昭和四七年二月八日から右支払ずみまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

第三請求原因に対する被告の答弁

一  請求原因一項の事実は認める。

二  同二項の事実は認める。

三  同三項の事実は認める。但し、末尾の主張は争う。

四1  同四1項の主張は争う。

2  同四2項の事実は否認する。

3  (被告の主張)

(一) 原告は、昭和四二年秋ころから経営に行きづまり、昭和四三年二月二四日不渡手形を出して銀行取引停止処分を受けたところ、同年三月一一日、訴外東京プリンス整備株式会社から破産の申立がなされた(東京地方裁判所昭和四三年(フ)第六八号事件)。

(二) ところで被告らは原告に対し、昭和四三年八月一七日、本件土地の固定資産税が同年中に二〇万四二三〇円に増額されたため、賃料を月額四万八〇〇〇円にする旨の賃料増額請求権を行使したところ、原告は、既に遅滞にある同年六月及び七月分の賃料合計一万七六二八円を供託しただけで、同年八月及び九月分の賃料を同年九月末日を経過しても支払わなかった。

(三) そこで被告らは、賃貸借関係の継続を著しく困難ならしめるような著しい不信行為があったものとして、原告に対し、何らの催告をせずに、同年一〇月一一日到達の内容証明郵便をもって、賃料不払を理由に本件賃貸借契約を解除した。

(四) よって被告らが被保全権利があると判断して本件各仮処分執行に及んだことには相当の理由があり、したがって、右仮処分の執行につき過失はない。

五1  同五1の(一)ないし(三)項の各事実は否認する。

2  (被告の主張)

(一) 被告らが本件仮処分を執行した当時、原告代表者前川恒吉は所在不明であり、立会人の不動産取引業者訴外佐竹薫二から訴外会社が賃借した旨を聞かされていなかった。また、原告主張の建物賃貸借契約は、原告が本件建物内に残存する商品並びに什器類を取り片付けて本件建物の使用が可能になった時に訴外会社の賃料支払義務が発生する旨を内容としていたところ、本件建物は昭和四七年三月始めころ使用可能な状態になったのであるから、原告には賃料相当額の損害を蒙る余地がない。

(二) 原告は、訴外会社が昭和四六年二月四日競落許可決定を受けた後、右決定に対して不当に、同月一〇日即時抗告の申立をなし、さらに同年四月三〇日特別抗告の申立をなし、以後自から所在不明となって手続を遅延させ、同年一二月一一日特別抗告が却下されて、ようやく右競落許可決定が確定したものであるから、同年二月四日以降の賃料相当損害金は原告がその責任で拡大したものであってこれを被告らに請求するのは失当である。

第四被告らの主張に対する原告の答弁

被告らの主張(四3項及び五2項)は争う。

第五証拠関係《省略》

理由

一  請求原因一項(原告と被告らの本件土地賃貸関係)及び二項(本件仮処分申請ないしその執行)の各事実は当事者間に争いがない。

二  原告は、本件仮処分の執行が被保全権利の存しないのになされた違法なものである旨主張するので判断するに、請求原因三項(仮処分決定異議ないし取消手続)の事実は当事者間に争いがなく、この事実と弁論の全趣旨によれば、つぎの事実が認められる。

(一)  被告らは、被告らの増額請求に係る賃料の不払を理由に原告に対し本件賃貸借契約を解除したから、原告に対し本件土地を明渡し本件建物の収去を求める権利を有し、これを保全するためとして本件仮処分を申請したところ、そのうち処分禁止仮処分に関する仮処分異議の判決(東京地方裁判所昭和四六年(モ)第一七八八号)は、右解除にあたり被告らが相当の期間を定めて催告したことの主張・立証がなく、また、これを必要としない特約等の特段の事情の存することについても主張がないから、被告らに右解除権が発生せず、したがって被保全権利を欠くとして右仮処分決定を取消した。そして占有移転禁止仮処分に関する仮処分取消の判決(同裁判所昭和四七年(モ)第三一一七号)は、本件仮処分の各被保全権利は同じものであり、右異議判決が確定した以上、右占有移転禁止仮処分決定も事情変更により取消すのが相当であるとした。

(二)  そして被告らは、昭和四六年二月、原告を相手どり本件仮処分の本案訴訟である建物収去土地明渡請求事件(東京地方裁判所昭和四六年(ワ)第一一五四号)を提起し、本件賃貸借契約解除の理由として、原告が昭和四二年一月以来、被告らに対してあらかじめ賃料の提供をすることなく供託を続け、その供託も毎月定期になされずに恣意的にまとめて爾後になされ、昭和四三年八月及び九月分の賃料を支払わなかったため、賃貸借関係を継続させる信頼関係を破壊した旨を主張した。ところが、その後本件建物につき任意競売手続が開始され、訴外会社が、本件建物を競落し、昭和四七年二月八日、代金一六四八万円を納付してその所有権を取得したので、同年五月八日、被告として右訴訟を引受けた。しかるところ、訴外会社は、右に先だち、被告らを相手方として宅地建物調停の申立をしていたので、本案訴訟の進行はひとまず見合わせて、右調停による解決をはかったものの、これが不調に終った。そこで訴外会社は、借地法九条の三第一項に基づく土地賃借権譲受許可の申立をなし、他方、被告らは、本件建物及び本件土地賃借権譲受の申立を行ない、右両事件について、東京地方裁判所は、昭和五一年九月一七日、訴外会社から被告らに対し、本件土地の賃借権及び本件建物を代金一億二一五九万三〇〇〇円で売渡すことを命ずる旨の決定をしたところ、被告らが右代金額について不服があるとして、右決定に対し即時抗告の申立をなし、現に係争中(東京高等裁判所昭和五一年(ラ)第八〇一号)であって、本案訴訟もいわば休眠状態にある。

右事実によれば、本件仮処分決定は異議及び取消申立に基づく判決により取消されたにすぎず、本案判決により被保全権利の不存在が確定したわけではなく、しかも、被告らの主張する被保全権利の具体的内容である解除事由が、保全訴訟手続と本案訴訟手続においてまったく同一であるとはいえないことが認められる。そこで本件仮処分の被保全権利の存否について判断するに、《証拠省略》によれば、つぎの事実を認めることができ、この認定を覆えすに足りる証拠はない。

被告らは、訴外岡田輝彦との間に、昭和三三年一二月一六日、本件土地を昭和三四年一月一日から期間を三〇年間、賃料月額八八一四円を当月分当月末日払いの約定で賃貸する旨の調停が成立したが、その後まもなく、右岡田から右賃借権を譲受けた原告との間に、本件賃貸借契約の存否につき紛争が生じ、昭和四二年一月、裁判上その存在が確定したものの、その後当事者間で正常な賃料の授受がなされず、原告は被告らに対する賃料の支払を供託の方法で継続していたところ、原告は、昭和四三年一月ころから、賃料を一か月ないし二か月遅れで二か月分をまとめて供託するようになった。このような状況において、被告らは、昭和四三年八月一七日付内容証明郵便をもって、昭和三四年以来の公租公課の値上り等を理由に、賃料を同年六月分から遡って月額四万八〇〇〇円の割合で支払うべき旨請求したため、原告は、同年八月二八日、とりあえず同年六月及び七月分の賃料を従前どおりの額で供託したが、同年八月及び九月分の適正賃料額を決しかねていたところ、被告らは、原告から要求額の支払が得られないものと判断して、同年一〇月九日付内容証明郵便をもって、何らの催告をすることなく、本件土地に関し、前記の本案訴訟において主張された解除事由と大略同旨の内容の通告をした。それで原告は、直ちに同年八月及び九月分の賃料を月額二万円の割合で供託した。

右事実によれば、本件賃貸借契約解除の意思表示は、相当期間を定めた催告を欠き、しかも、右解除以前における原告の賃料支払の遅滞について被告から特に問題とされず、被告らのなした大幅な増額請求について原告がこれに応じなかったことを主たる事由になしたものというべきであり、原告が、昭和四三年一月から同年九月までの間、賃料を一か月ないし二か月間遅滞したことをもって、右催告を必要としない特段の事情が存したものとはいえないことは明らかであって、したがって右解除の効力を生ずるに由ないものであるというべきところ、本件全証拠によっても、本案訴訟においてその立証が可能であることをうかがわせるに足りる事情は認められない。

そうすると、本件仮処分の執行は、被保全権利がないにも拘らずなされたものであって、違法なものといわざるをえない。

三1  ところで原告は、仮処分の違法な執行につき、仮処分決定がその被保全権利が存在しないために当初から不当であるとして取消されたのであるから、民訴法第一九八条二項を類推して、被告らが無過失損害賠償責任を負うべきであると主張するので判断するに、保全処分の違法執行については債権者が右責任を負うべき旨を定めた明文の規定がないばかりでなく、処分禁止仮処分及び占有移転禁止仮処分の執行は、将来本案訴訟の勝訴判決の執行を実効あらしめるための保全措置にすぎないから、あらかじめ権利の満足を得ることを目的とする仮執行に関する前記法条を類推することは妥当でないというべく、仮処分債権者に右仮処分の執行について故意または過失があった場合に限り、右債権者は、民法七〇九条により、仮処分債務者がその執行によって受けた損害を賠償すべき義務があるものと解するのが相当である。そして、この種事件の特質に鑑み、一般に、仮処分決定が異議・取消もしくは上訴手続で取消され、その判決が確定した場合、特段の事情がない限り、債権者において過失があったものと推認するのが相当であって、債権者においてその仮処分申請ないしその執行をするについて相当の事由があったことを挙証した場合に限り、故意・過失がなかったものと判断すべきである(最高裁判所昭和四三年一二月二四日判決、民集二二巻一三号三四二八頁参照)。

2  そこで、被告らが本件仮処分を執行するについて相当の事由があったかどうかについて検討するに、本件全証拠によっても、右相当の事由があったというべき特別の事情を認めるに足りる証拠はなく、《証拠省略》によれば、原告は、昭和四二年秋ころから経営が行きずまり、昭和四三年二月、不渡手形を出して銀行取引停止処分を受けて事実上倒産し、訴外東京プリンス整備株式会社から破産の申立がなされるなどして営業活動の停止を余儀なくされ、さらに、同年三月四日、訴外株式会社不二商会から、売掛代金請求権を被保全権利として有体動産の仮差押執行を受けたこと、そのころから原告代表者の所在は被告ら他の債権者にとって判然としない状態にあり、本件仮処分執行の際も原告代表者の所在が確知できず、その立会がなかったことを認めることができるが、右は、本件仮処分の必要性の事情になりこそすれ、これをもってその被保全権利が存すると信じたことにつき過失がなかったということはできない。

したがって被告らは、本件仮処分執行により原告が蒙った損害を賠償する義務がある。

四  原告の損害について判断する。

1  《証拠省略》によれば、請求原因五1項(原告と訴外会社との間の本件建物賃貸借契約)の事実を認めることができ、この認定を覆えすに足りる証拠はない。

2  《証拠省略》によれば、本件賃貸借契約において、訴外会社は、原告が本件建物内に残存する商品並びに什器類を取り片づけ、訴外会社の使用が可能になったときから、賃料を支払う旨を約したが、原告がすみやかに右整理を実行しないので、自から右商品等を搬出して使用しようとしたところ、昭和四四年五月七日、本件仮処分のうちの占有移転仮処分の執行がなされたため、爾来本件建物に入居することが不可能となったものの、本件建物につき訴外東京信用保証協会からの任意競売の申立に基づき、昭和四六年二月四日、訴外会社の競売申出に対し競落許可決定がなされ、原告が右決定に対し不服の申立をなしたが、同年一二月一一日特別抗告が却下されたので、訴外会社は昭和四七年二月七日代金一六四八万円を納付してその所有権を取得したこと、以上の事実を認めることができる。

右事実によれば、原告は、本件占有移転禁止仮処分が執行された昭和四四年五月七日から、訴外会社が競落許可決定を受けた日の前日である昭和四六年二月三日までの間、本件建物につき月額三〇万円の賃料相当額の損害を蒙ったものというべきである。

もっとも、原告は、右損害が昭和四四年三月七日になされた処分禁止仮処分の執行のときから発生する旨主張するが、本件賃貸借契約は右執行以前に締結されたものであるから右仮処分に抵触するものではなく、原告が訴外会社に対して本件建物を使用せしめえなくなった原因は本件占有移転禁止仮処分の執行にあるといわざるをえないから、原告の右主張は採用の限りでなく、また、原告は、訴外会社が本件建物の所有権を取得した昭和四七年二月七日までの間、原告において賃料相当損害金が生ずる旨主張するところ、なるほど原告は競落人が代金を納付するまでは本件建物の使用収益権を失うものではないが、原告が右競落許可決定に対する前叙の不服申立をしなければ、訴外会社は、右決定日たる昭和四六年二月四日に代金を納付して本件建物の所有権を取得しうる立場にあったにも拘らず、原告の理由のない右不服申立によってこれができなかったのであるから、右競落許可決定日から代金納付日までの間の使用相当損害金は、被告らの本件占有移転禁止仮処分によって生じたものとはいいがたいものというべきである。

それ故、原告は本件仮処分の執行によって、占有移転禁止仮処分の執行された昭和四四年五月七日から訴外会社が本件建物の競落許可決定を受けた日の前日である昭和四六年二月三日までの間、月額三〇万円の割合で計算した合計六二七万円の賃料相当損害を蒙ったものといわなければならない。

3  《証拠省略》によれば、被告らは、原告が本件建物を他に賃貸する恐れがあることを予測して本件占有移転禁止仮処分決定の発付を求めたことが認められ、これによれば、被告らは右仮処分執行の際、原告が右2項記載の損害を蒙ることを予見していたものというべきである。

五  以上のとおりであるから、被告らは原告に対し、本件占有移転禁止仮処分の違法な執行により原告の蒙った賃料相当損害金合計六二七万円及びこれに対する不法行為後の昭和四七年二月八日から右支払ずみまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払義務がある。

よって、原告の本訴請求は右の限度で理由があるからこれを認容し、その余は失当であるから棄却し、訴訟費用の負担につき、民訴法八九条、九二条、九三条を適用し、仮執行の宣言は相当でないからこれを付さないこととし、主文のとおり判決する。

(裁判官 遠藤賢治)

〈以下省略〉

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